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![]() Special Race Report R2-1 全日本ロードレース選手権第7戦 GP250クラス 鈴鹿 |
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松戸が戦線離脱してからは2番手争そいに注目が集まる。序盤からヒートアップしていた宮崎、嘉陽、関口、稲垣、大崎の5台が激しく順位を入れ替えながら周回を重ねる。嘉陽は右足首あたりの骨折が影響してコーナリングで苦しんでいる。終盤に入り大崎は集団から遅れてしまい、4台の2位争そいとなり、迎えた最終ラップ。独走の大治郎だが、序盤のバトルの影響からかタイヤがかなりの消耗をみせている様子でコントロールが厳しそうなコーナーもあるが、慎重にマシンをライディングする姿がモニターに映し出される。チェッカーまで後僅か。2位集団は依然接近戦のまま走行して差し掛かったデグナーカーブで仕掛けた稲垣が転倒。残った宮崎、関口、嘉陽の3台が表彰台を目指す。宮崎が余力を振り絞りスパートしスプーンカーブの立ち上がりで後続をややリード。
大治郎は今季2勝目を独走でゴール。高らかに振られるチェッカーフラッグに歓喜の声援が飛ぶ。プラットホームではチームスタッフが身を乗り出して優勝を迎えた。チームスタッフにとっても名誉な瞬間で、その姿に喜びと感動を憶える。
宮崎が16秒620の差で2位に入る。怪我からの復帰第2戦となる関口が嘉陽との勝負所をシケインの飛び込みに賭ける。僅かに関口がリードしてシケインを立ち上がったが、嘉陽のAC28Mの加速がその差を一気に縮めてフィニッシュラインを通過。肉眼では嘉陽が逆転したかに思われたゴールシーンだったが、その差0.013秒という超僅差で関口の逃げ切りで3位が決定。骨折を耐え最後まで頑張った嘉陽が4位となった。
序盤から激しいバトルが展開される好レースとなったGP250決勝の勝者となった大治郎は、ゆっくりとしたウィニングランでレースの余韻をかみ締める。握られた拳を観客スタンドに上げて見せ、大きな拍手に包まれる。グランドスタンド前では大勢のファンが表彰式を待っている。
最終コーナーにカストロールカラーのNSRが見えて来た。大治郎が帰って来た。その手には誇らしげにチェッカーフラッグが握られている。鈴鹿の風が祝福するかのように旗をなびかせる。
ゆっくりと、そして堂々とグランドスタンドに戻って来た勝者を迎えたエールは震撼するほど大きく温かかった。北海道や九州からも応援に来てくれたファンもいた事を知り、又、全国各地から来てくれた皆さんに“来た甲斐あった”と思ってもらえる結果であった事を心から嬉しく思った。
マシンを止め、バイザーを開けたその目は穏やかで、かけられる祝福の声にはにかんで微笑んで見せる大治郎。
![]() マシンを降り、スタッフへの笑顔 |
![]() ほっと一息、水分補給 |
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