新しくなったグランドスタンドには決勝を前にして待ちきれないファンの群れが朝早くから集まっている。この日は、ワールドカップのスペイン×アイルランド戦と重なっていたにもかかわらず、約10万人を収容するサーキットには去年を上回るGPファンが大挙して訪れ、隙間無くロードコースを群集で埋め尽くしている。スペインではmotoGPの人気もサッカーに負けず劣らず高い。特にここカタルニアサーキットでは4月にF1のスペインGPも開催されており、スペインのモータースポーツファンにとっては馴染みの深いサーキットなのだ。 公式予選終了時から、長時間にわたるミーティングによって、チームはセッテイングの方向を大きく変更する事を決意した。昨晩からマシンの再セッティングに当たっていたFortuna Honda Gresiniは、朝のウォームアップ走行でタイムアタックよりもセッティングの確認に時間を費やす。大治郎は信頼するチームスタッフの手がけたマシンに跨り、走行を重ね、午前のセッションを終えた。完全とは言えないものの、予選に比べると少しは乗りやすくなっている事はフルタンクでの安定したタイムに表れた。 レースを控えたインターバルの間に、今年のシーズン前に引退した1999年の500ccクラスチャンピオンで地元の英雄アレックス・クリビーレがサーキットに姿を見せた。スタンドからは大きな歓声が巻き起こる。彼の引退セレモニーが行われ、前日にHRCからプレゼントされたチャンピオンマシンのNSR500でコースを周回すると、観客席からは大きな拍手やチアホーン、「GRACIAS CRIVILLE」と感謝を表す巨大な横断幕で過去の偉業を称えた。またサーキット内に記念碑も造られ、元チャンピオンの記憶が永遠に刻み込まれた。この感動的なシーンは、ロードレースが国民的な人気スポーツである事をも証明して見せた。 motoGPクラスの決勝に先立ち行われた250ccクラス決勝では、昨年大治郎が駆ったチャンピオンマシンNSR250を受け継いだ#4 ロベルト・ロルフォが激戦の末、今期2度目の2位表彰台を獲得。戦前の予想に反して混戦ムードのこのクラスでチャンピオンシップのTOPを射程範囲に入れてきた。同チームの後輩が結果を残した事で大治郎のピットでも士気が高まる。 |
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