決勝日

決勝レースは午後2時スタート。日中最も気温の上がるこの時間に、ムジェロの温度計は30度を超える。スターティンググリッドでは、華やかにポールポジションのロッシが紹介されると、スタンドは一斉にお祭り騒ぎの狂喜乱舞と化す。
大治郎は首に氷を当てて暑さをしのぐ。両膝には新型のバンクセンサーを装着。少しでも体に伝わる感触が改善されるよう様々なレーシングギアがバジョンアップされていく。



4列目16番手からの決勝スタートはフロントが浮いてしまい、加速が鈍る。その隙に3台のマシンにかわされ19番手で1コーナーへ。ホールショットは開幕から5戦連続ポールポジションを獲得したロッシが、その勢いのまま駆け抜ける。オープニングラップを終え、メインストレートに戻って来た時にはHONDA-RC211V、YAMAHA-YZRM1の4台とNSR500のカピロッシがレースをリードする。前回のフランスGPからその能力を現してきたYAMAHA-YZRM1を駆るビアッジは、2周目に322.77km/hとレースでの最速をマーク。このクラス地元でのGPでまだ勝っていないビアッジにとって、同じ地元のロッシには負けるわけにはいかない。シャーシとエンジンブレーキシステムに新しい物を導入されてからフィーリングが良くなり、戦闘力が上がったと語っていたマシンを駆り、ロッシを追う。この2台のチームメートである宇川・チェカと続き、以降を離しながら周回を繰り返す。大治郎はスタートの遅れを挽回するかのように3周目ホプキンスとジベルナウ、4周目にグールベルグをかわし14番手。長く連なるこのグループの中では最速のタイムで順位を上げて行く。朝のウォームアップで試したセッティングの効果が現れている。
7周目を終えたホームストレートでビアッジがロッシを捕らえてトップに浮上。だが今年のここまでのレース展開を振り返ると、ロッシがビアッジに先行をさせたようにも写る。
ジャックをかわし、11番手に上げて迎えた10周目の16コーナー、大治郎は右上りコーナーでフロントから切れ込んでしまい痛恨の転倒。激しくプッシュしていた矢先の出来事に、ピットが静まり返る。2戦続けての手痛いリタイアとなってしまった。幸い大治郎自身にダメージは無く、メディカルセンターに運ばれず、スタッフの迎えによるスクーターでピットへ戻った。



レースはその後13周目に再びロッシがビアッジをかわしスパート。追いすがるビアッジを徐々に突き放し、地元イタリアGPでのイタリア人としては一昨年のカピロッシ以来2人目の勝利で飾った。3位争いを展開していた宇川も残り2ラップの所でチェカをパス、RC211V対YZR-M1の4ストロークマシン対決をここでもHONDAが制した。ロッシがこのままランキングトップを走り続けるのか、今回敗れはしたが、レース毎に戦闘力を増して来ているYAMAHAのYZR-M1が今後どこまで能力を上げてくるのか注目される。
思わぬアクシデントでの転倒となった大治郎は「全く予測できない状況で、気がついたら転んでいた。これからポジションを上げられるという段階だったので残念。次のカタルにアGPで頑張る。」 地元開催のチームにとっても残念な結果となってしまったが、グレッシーニ監督は「マシンはいくらでも直せるが、ライダーの体はそうはいかない。大治郎が無傷だったのはラッキーだった。これもいい経験だから次につながる。」とコメント。次戦の場となるバルセロナのカタルニアサーキットではシーズン前のテストで走り込んでいる。

チームはレース直後から次戦前に行われるチェコ・ブルノサーキットでのテスト走行に向けて、休む間もなく片付けと準備に追われる。GPは全16戦、感傷に浸っている暇はない。




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予選二日目 結果