Special Race Report
WGP 世界ロードレース選手権第11戦
Gauloises Ceske Republiky Grand Prix
ブルノ(チェコ)

第11戦 チェコGP 予選1日目 第11戦 チェコGP 予選2日目

250cc 決勝(20周) 天候:晴れ 気温:28℃ 路面:ドライ(38℃)
順位 No. ライダー 国籍 チーム メーカー タイム Gap
1 56 中野 真矢 JPN Chesterfield Yamaha Tech 3 YAMAHA 41'44.845 -
2 4 宇川 徹 JPN Shell Advance Honda Team HONDA 41'48.839 3.994
3 19 Olivier JACQUE FRA Chesterfield Yamaha Tech 3 YAMAHA 41'49.832 4.987
4 35 Marco MELANDRI ITA Aprilla Grand Prix Racing APRILIA 41'50.873 6.028
5 6 Ralf WALDMANN GER Aprilia Germany APRILIA 41'58.211 13.366
6 74 加藤 大治郎 JPN Axo Honda Gresini HONDA 42'06.104 21.259
7 21 Franco BATTAINI ITA Motoracing Battaini APRILIA 42'11.334 26.489
8 9 Sebastian PORTO ARG Edo Racing APRILIA 42'29.918 45.073
9 26 Klaus NOHLES GER Aprilia Germany APRILIA 42'31.980 47.135
10 24 Anthony WEST AUS Shell Advance Honda Team HONDA 42'41.777 56.932
11.松戸直樹 16.Vincent PHILIPPE

シーズン中盤のヨーロッパラウンドは雨に翻弄されたレースが多く、不安定なコースコンディションと不慣れなサーキットへの適応が目下のところ、大治郎の課題とされている。しかし、各国のチャンピオンが集まり、世界一を競い合うWGPにおいて経験というアドバンテージは勝つ要素として大きなウエイトを占める。限界を極めるロードレース競技の世界は奥深かい。

8月18日チェコGP公式予選1日目。「今日は快晴。気温が高く、かなりタイヤには辛いコンディションながらチェコGPはドライでのレースが期待出来そうですよ。」と電話の向こうで、SHOEIのグランプリ担当・山下さんは答えてくれた。少なくともドライコンディションで走れる事に内心ホッとする。長いグランプリ生活を考えても、そのサーキットでのベストコンディションを体験する事の意味は計り知れない。大治郎のGP参戦は始まったばかりなのだから…。
8耐優勝の余勢を駆って、調子良く予選にチャレンジしたいところだったが、そんなに甘くはなかった。ライバルであるポイントリーダー O.ジャックや中野真矢、先輩宇川 徹が着実に予選上位を占める中、大治郎は出遅れる。ここ数戦、アプリリアにも勢いが見られM.メランドリもトップ争いに加わって来た。陸続きのヨーロッパでの戦いに入って、ヨーロッパのライダー達が勢いづくのは経験値の差だろう。16番手は大治郎にとってもチームにとっても苦しい順位で、まだ限界アタックするまでコースを攻めれる状況に無い事を表わしていた。

8月19日予選2日目、午前のフリー走行では自己タイムを着実に縮めるライディングを見せて、残った予選への感触を良いものに感じさせた。しかし、上位ライバル達とのタイム差は縮まりこそしているもののレースで戦える程には迫れない。試行錯誤のセットアップも思うようなバランスがとれず、8番グリッド2列目からのスタートとなる。
「まだベストライディングには程遠く、よく分からない。」と語る大治郎。前半戦から好調を維持するYAMAHAの2台に宇川が肉迫。アプリリアのメランドリ、ワルドマンが続いて混戦の様相を呈している。この優勝争いに加わりたいところだが、厳しいタイム差がチームAXO・HONDA・GRESINIのピットにもプレッシャーをかける。初参戦の壁。誰もが受ける洗礼とは云え、大治郎にとって苦渋の時間に他ならない。

シーズンも後半に入り、チャンピオンシップ争い上位選手達は取りこぼしが許されない中での戦いとなっていて、転倒によるノーポイントや怪我での影響を考えてレースに臨まなくてはならない。その事が本来持ち得るライディングの領域を狭める結果となる。ましてや初めてのサーキットなら尚更の事。こうしたグランプリならではの重圧と精神的な戦いを積み重ねて前へ進むしかないのである。

序盤戦の戦い振りから、表彰台を逃してしまったここ数戦の大治郎を不調と評す間違いを耳にするが、歴代GPライダーでルーキーイヤーに初サーキットでコンスタントにポイントを逃さず走りきっている選手が何人いるだろう?置かれた状況でのベストを尽くしている。しかし、結果に結びつかないレースもある。あの偉大な世界チャンピオンM・ドゥーハンが評するとおり、大治郎には非凡なライダーとしての才能があり、それは世界で通用するものである事は疑いようのないのもだが、不足している経験も多分にある事は否めない。
大治郎自身、「勝つために参戦している。」と語るとおり、常に全力でチャレンジしている。その結果が優勝や表彰台であったり、そうでなかったり…。

決勝レースでは、スタートこそ順位を上げて1コーナーに飛び込んだもののペースを上げる事が出来ない我慢のレースとなってしまう。6番手というポジションをキープし切りチェッカーを受ける。セッション毎にタイムを詰めて、ポジションも上げての結果でポイントも獲得。長いシリーズや将来のグランプリ生活を考えた時に大切なレースをひとつ終えた。そうチームは判断している。獲得したポイントが次に繋がることを元GP125世界チャンピオンであるグレッシーニ監督は理解している。

レース終了後、大治郎は多くを語らなかった。「ペースが上げられなかった。」との僅かなコメントに想いが集約されている。次はポルトガルGP、大治郎のチャレンジは続く。

250cc ウォームアップ走行 天候:晴れ 気温:27℃ 路面:ドライ(31℃)
順位 No. ライダー 国籍 チーム メーカー タイム Lap
1 19 Olivier JACQUE FRA Chesterfield Yamaha Tech 3 YAMAHA 2'04.471 9周
2 56 中野 真矢 JPN Chesterfield Yamaha Tech 3 YAMAHA 2'04.771 9周
3 4 宇川 徹 JPN Shell Advance Honda Team HONDA 2'04.841 10周
4 13 Marco MELANDRI ITA Aprilla Grand Prix Racing APRILIA 2'05.010 6周
5 6 Ralf WALDMANN GER Aprilia Germany APRILIA 2'05.546 9周
7 74 加藤 大治郎 JPN Axo Honda Gresini HONDA 2'05.867 9周
21.Vincent PHILIPPE 30.松戸直樹



500cc 決勝(22周) 天候:晴れ 気温:32℃ 路面:ドライ(48℃)
順位 No. ライダー 国籍 チーム メーカー タイム Gap
1 4 Max BIAGGI ITA Marlboro Yamaha Team YAMAHA 45'31.918 -
2 46 Valentino ROSSI ITA Nastro Azzuro Honda HONDA 45'38.559 6.641
3 24 Garry McCOY AUS Red Bull Yamaha WCM YAMAHA 45'40.545 8.627
4 2 Kenny ROBERTS USA Telefonica Movistar Suzuki SUZUKI 45'44.024 12.106
5 65 Loris CAPIROSSI ITA Emerson Honda Pons HONDA 45'48.001 16.083
7.Alex CRIVILLE 8.青木宣篤 10.岡田忠之 11.Carlos CHECA 14.原田哲也 20.小西良輝
(阿部典史,Alex BARROS : リタイア)



125cc 決勝(19周) 天候:晴れ 気温:30℃ 路面:ドライ (39℃)
順位 No. ライダー 国籍 チーム メーカー タイム Gap
1 4 Roberto LOCATELLI ITA Diesel Vasco Rossi Racing APRILIA 41'19.190 -
2 41 宇井 陽一 JPN Derbi Racing DELBI 41'20.723 1.533
3 1 Emilio ALZAMORA SPA Telefonica MoviStar Team HONDA 41'27.656 1.716
4 9 Lucio CECCHINELLO ITA Givi Honda LCR HONDA 41'37.656 18.466
5 5 上田 昇 JPN Givi Honda LCR HONDA 41'48.268 29.078
(東雅雄:リタイア)

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