パリの南西、約200kmに位置するル・マンはモータースポーツの発祥の地とも云われ、現在でもmotoGPの他にも様々なレースが開催されるが、最も有名なのは4輪のスポーツカーによる24時間耐久レースだろう。ここは2種類の国際コースを併せ持っている。全長13kmにも及ぶサルト・サーキットがフルコースで、グランプリが開催されるショートコースは、1周4180mのブガッティ・サーキットと呼ばれている。一部コーナーが改修されて全長が4,305mから4,180mになっている。80年代には1年毎にフランス・ポールリカールと交互に開催されていたが、近年94,95年に開催された後、一昨年から新たにWGPカレンダーに名を連ねるようになったサーキットでもある。 コースレイアウトはSTOP&GOが多く、コーナーのほとんどがヘアピンとシケインで、何本もの短いストレートとの組み合わせは加速と減速の繰り返しになるため、ライダー達からの評判は芳しくない。コースレイアウトの特徴から、敏捷性のある2ストロークマシンの特性を生かせる箇所が少なく、パワーと加速に優れた4ストロークマシンが有利であるとの前評判が高い。昨年までのレースを見ても、このサーキットではブレーキングが大きな鍵を握っているといえる。レース後半に、軽量な2ストローク勢がブレーキングでどこまで4ストロークマシンに対抗出来るか?注目が集まる。 大治郎はデビューイヤーに、全選手が初めて走るというイコールコンディションの下、このサーキットでポールポジションを獲得している。しかも、直前のエストリルでのテストで転倒をして指を怪我するというハンデを抱えながらのライディングであった。決勝では、ホールショットを奪いながらフルタンクでの下りコーナー進入ブレーキングで突っ込み過ぎのオーバーランを経験。最後尾32番手から怒涛の追い上げを見せて6位フィニッシュという、世界中に大治郎の存在を大きく知らしめた挽回劇を魅せてくれた。昨年は開幕から4戦連続のポールポジションという速さを見せ付け、決勝では原田との接近戦となったものの最終ラップのチャペルコーナーのブレーキング競争に勝ち、開幕4連勝を達成している。コーナーでコンパクトに向きを変え、早めにマシンを起こしてアクセルを開けられる大治郎の天性のライデイングがコース攻略に貢献している事は明白だ。ツインリンクもてぎのコース特性にも似ているともいわれているだけに、相性の良いサーキットである。 |
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週末の天気は下り坂との予報が出ているものの、サーキット入りしてからは晴天続きで雨など降る気配もなかった。 公式セッションを翌日に控えた木曜日には、様々な取材やスポンサーのカタログ撮影で忙しく対応に追われた大治郎だが、夜にはHONDAスタッフらと自分のモーターホームで食事会を開くなどリラックスした時間を過ごしている。 今回のフランスグランプリには意外なゲストが大治郎の応援に駆けつける予定だ。著名な作家の伊集院静氏である。度々ヨーロッパを訪れる伊集院氏が大治郎のレースをTVで観て、その才能に惹きつけられて是非とも逢ってみたいとの申し入れがあった。また、自身が連載されているスポーツ選手をクローズアップしたコラムでも取り上げてくれるという事だ。過去には、ゴルフのタイガーウッズ、サッカーのジダン、メジャーリーグのイチローなど世界で活躍するその世界とTOP選手を紹介しているページに大治郎が加わるというのだから、やはり間接的に情報の逆輸入といったところか。 迎えた公式予選初日は朝から雨模様。しかし、雨は上がりコースは乾いた。フリー走行では昨年のタイムを大幅に上回る展開で、YAMAHAの4ストロークマシンを駆るチェカがTOPタイムをマーク。ロッシ、ジャック、ノリック、カピロッシ、ロバーツ、大治郎と続いた。4スト有利と囁かれる中、2スト勢がタイム差なく上位を占めて混戦模様を予感させた。 大治郎がホスピタリティーブースでランチをとっている頃、太陽が見えているのに雨が降るという空模様であった。雲がすごい速さで形を変えて行く・・・。 気温25℃、路面温度31℃とドライコンディションで開始された公式予選1日目。天候が悪くなって行く事を想定して、早々とロッシは動きを見せる。序盤からリーダーボードのTOPに立つと自身のタイムを更新して行く。終盤に来て早めのアタックにより、上位の順位が目まぐるしく入れ替わる。大治郎は、セッテイングが今ひとつ決まり切らず、ピットインを繰り返す。リヤのスライドに悩まされながらも、最後のアタックのためニュータイヤでピットアウトした時点でコースの一部で雨が降り始め、またもタイムアタックが出来ないという不運に11番手という結果となった。 今シーズンの流れとなっていた、HONDA勢の上位独占を阻止しようとYAMAHA、SUZUKIの挽回が混戦を予想させる初日の結果となった。暫定ポールはチェカ。以下ロッシ、中野、ビアッジ、カピロッシ、宇川、ノリック、ジャック、ジベルノー、バロス、大治郎・・・と続いた。 予選最後の250ccクラスでは、雨の影響で予選突破基準タイムをクリア出来たのが9人のみという異例の事態に関係者も頭を抱えた。 酒・タバコ類の広告が禁止されているフランスでは、いつもと違う地味なカラーリングがグランプリから華を奪い、違和感を生じさせている。気まぐれな天気がイベントを翻弄する。足早に過ぎて行く雲の動きに、フランスGPでのドラマが隠されているようだ。 |
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予選一日目 結果 |